第83章 球技大会の予選と杏寿郎の懸念
「嘴平くんは逆に褒めてあげると良いと思う!嬉しいとほわほわしちゃうから。」
それを聞くと同じ第2運動場にいる伊之助に皆の視線が集まる。
アオイから貰った弁当も食べ終わった伊之助はじっとしていられず、食後にも関わらず走り回ったり柔らかい体を利用して気持ち悪い体勢を取ったりしている。
それを見て皆はほわほわする伊之助を想像出来なかった。
「褒めるのならスポーツマンシップにも則っているし、嘴平くんも嫌な気持ちにはなりません!ね!」
生徒達は困惑していたが、桜がそう言って首を傾げると再び呆気無く同意した。
その様子を見たしのぶは微笑みながら少し呆れたように溜息をついた。
そうして昼休憩が終わっていよいよ午後の試合が始まる。
午後始まってすぐの第5、第6試合は桜とは何も関係のない試合だ。
(この間に他の種目も見てこようかな。)
桜はそう思うと隣のサッカーをしている第1運動場へ足を運ぶ。
すると着かないうちから実弥の怒り狂った声が飛んできた。
(……やめようかな。)
桜は優しい実弥しか見たくなかった為 代わりにバスケットボールをしている第1体育館へ向かった。