第83章 球技大会の予選と杏寿郎の懸念
杏(俺のも桜に作ってもらったものなのだが…。自慢したら桜は『生徒に言わないで。』と怒るだろう。ここは我慢だ。)
そう思って杏寿郎が眉尻を下げながら具沢山の凝った弁当を眺めていると、それが桜のお手製だと勘付いている生徒全員が杏寿郎にもどかしそうな視線を送った。
その時―――、
炭「それにしても桜さ…、一ノ瀬先生のお弁当は手が込んでいますね!!朝練早かったのに。」
誰もが分かっていながら言えなかった事を炭治郎が爽やかに言い放った。
すると杏寿郎がパッと顔色を明るくさせる。
杏「よもや!分かられてしまったか!!一緒に起こして良いと言っているのに いつもこっそりと俺よりも早く起きてしまうので何時に起きたのかは分から、むっ」
嬉しそうに大声で話しだした杏寿郎の口を物凄い速さで走ってきた善逸が塞いだ。
そして『一緒に住んでるって言って良いんですか!一ノ瀬先生に怒られますよ!!』と小声で至極真っ当な事を言った。
しかし時既に遅し。
幸い、既に結婚が決まっている付き合いだという噂が流れていた為に生徒達はそれほど驚かなかったが、そうして新しい話の種が出来てしまったのだった。
そんな事は露知らず、桜は慕ってくれる生徒達とのんびり話をしながら昼休憩を過ごしていた。