第83章 球技大会の予選と杏寿郎の懸念
(こんな事言っちゃいけないんだけど、蓬チームはそこまで強いかな…?)
桜がそう思いながら蓬組のメンバーに視線を遣るとにこにことしているしのぶと目が合う。
しのぶは可愛らしく小首を傾げて微笑んだ。
(…………?……今日もとっても可愛らしい…。)
桜も首を傾げてにこりと微笑み返す。
それを見守っている周りのチームメイトだけが自身達の強さの秘訣を知っていた。
しかし桜がそれを知るよりも前に昼休憩となる。
桜は担当クラスの中で集まれる生徒達と共に仲良く弁当を広げた。
「わあっ、皆集まってる。チームの団結力はこの3チームが同率1位だね!」
桜がぽんと手を合わせて微笑むと隣り合って座っていたしのぶとアオイは息をついた。
桜はそれに気が付くと、アオイに『分かってるよ。』という意味合いを含めた微笑みを向ける。
ア「桜さん、少し変わりました。自覚が出来たというか…。」
し「もしそうなら嬉しい限りです。」
まだ実感をしていないしのぶはそう言うと母親手製の美味しそうな弁当を開けた。
し(お母さんのお弁当に球技大会か…。本当にこの世界は平和だな…。)
そう思いながら甘めの卵焼きを頬張る。
アオイはそれを見て微笑むと『伊之助さんに2つ目のお弁当を届けてきます。』と言って小走りに去って行った。