第83章 球技大会の予選と杏寿郎の懸念
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『―――それではこれより第35回 駒校球技大会を始めます。サッカーは第1運動場、ドッヂボールは第2運動場、バスケットボールは第1体育館、バレーボールは第2体育館にて試合の準備を始めてください。』
開会の挨拶が終わると、お祭りのような空気感とどこの応援に行っても良いという開放的な空気から生徒が浮ついた表情を浮かべる。
又、普段はカチッとした格好をしている教師陣が自前のジャージに身を纏っている事も非日常感をより大きくさせていた。
杏寿郎は黒のラインが入った情熱的な赤いTシャツと黒の7分丈のパンツ、そして上は赤のラインが入った黒のツートーンのジャージ、
桜は白地にピンクのラインが入った長袖長ズボンのごくごく普通の物、
実弥もモスグリーンに白の差し色が入った いかにも "有名なスポーツブランドで間違いのないものを買ってきた" といった物で、
天元はいつもより様々な差し色が入った派手なパーカーを着ている。
義勇は相変わらず青ジャージだった。
それぞれの気持ちや性格が表れた物である。
(ジャージの襟ってすぐ折れちゃうから首を隠すには前のファスナーを1番上まで閉めてないと…。あついなあ…。)
桜はそう思いながら昨夜杏寿郎に付けられた華をジャージ上からさする。
しかし昨夜を鮮明に思い出すより前に頭をふるふると振って気合いを入れるように拳を握った。