第82章 新しい外への向き合い方
「それは年数を積めば上がれる可能性が出てくるからであって、杏寿郎さんの場合は6段の父に勝てると思うんです。恐らく杏寿郎さんは来年にでも6段に上がれるでしょうし…。」
杏「いや、最近は部活動でしか竹刀を振るっていない。暫くは5段止まりだろう。何故俺が勝てると思うんだ。勿論嬉しいがお父様も実力者だろう。」
「杏寿郎さんは強い!っていう刷り込みもあると思いますが、父は私の事となると冷静さを欠いてしまうんです。」
それを聞くと杏寿郎は『なるほど。』と呟いた。
杏「しかし今更引くとも思えん。俺も引かないし、失礼に値するので手加減もしない。」
「…………はい。私も黙って見守っています。」
静かな声に桜も静かに返すと杏寿郎はソファに座ったまま桜の服の中に手を忍ばせてくる。
桜は昔のように怒ったりせず、ただただ身を差し出し、杏寿郎に委ねた。
そしてそんな穏やかな日曜が終わり、いよいよボール飛び交う日々が始まる。