第82章 新しい外への向き合い方
杏「君の入った2年と3年のクラスの…、」
「小林くんと竹内くんには気を付けます。」
杏寿郎が驚いて桜を見下ろすとしたり顔を返された。
「ある大事な人の為に、『頼めば何でもしてくれそう』だなんて思われない隙のない先生を目指していますから!」
それを聞くと杏寿郎は『そうか。』と言いながら眉尻を下げて笑った。
杏寿郎は玄関に入るとすぐに桜を後ろから抱き締めて充電を始めた。
「……寂しかったですか?」
杏「うむ。土曜に離れる事は滅多に無いだろう。」
「週末はまだあと1日残っていますよ。」
杏「うむ。」
桜が歩こうとすると 杏寿郎は桜の肩に顔を埋めつつも歩いてくれた。
桜は回された腕を撫でながらキッチンへ向かい、麦茶を注ぐ。
「飲みますか?」
杏「うむ。」
そう言うと杏寿郎はやっと桜から離れてコップを受け取った。
桜は自身用にも注ぐと両手でコップを持ってこくこくと飲む。
その仕草はあどけないが、きちんと年相応の化粧をした桜はやはり少しだけ大人びていて、そしてとても華があった。