第82章 新しい外への向き合い方
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杏「駅までの道のりはどうだった。変な男に話し掛けられたりしなかったか。」
「全くです!1回も話しかけられませんでした!」
杏「そうか!!」
「レストランに着くまで帽子を被っていたのですが、それまでずーっと問題なかったです。あ、でも乗る電車を間違えちゃいました。」
そう言って眉尻を下げて笑う桜に既に知っている杏寿郎は今知ったかのように笑った。
そんな楽しく、未来も明るくなった土曜の次の次の日、つまり週末が明ければ6月末の名物、駒校の球技大会が始まる。
「明後日は晴れるそうですね。楽しみだなあ、 "先生対決" 。」
そう言いながら桜は杏寿郎にドアを開けてもらって車を降りる。
杏「他人事ではないぞ。君はとにかく転ばないように気を付けなさい。」
「むぅ。」
先生対決とは文字通り先生達の試合…という訳ではなく、生徒達のチームに助っ人で1人だけ先生を入れる事が出来るという大変盛り上がるルールが組み込まれた決勝戦のことだ。
当然人気の先生の取り合いになる。
強い先生を得られれば勝つ可能性は大きくなるし、好きな先生を得られれば一緒に練習出来る場合もあるからだ。
結果はもう決まっていて、3学年共に実弥と義勇はサッカー、天元はバスケ、小芭内は鏑丸が嫌がるというよく分からない理由で辞退、行冥は力が強すぎる為 校長により出場禁止となっており、杏寿郎と桜は共にドッヂボールである。