第82章 新しい外への向き合い方
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―――ピロンッ
杏(む。)
桜が部活帰りに手早く作ってくれた夕食を食べ終え、テレビをぼんやりと見つめていると何時でも気付けるようにとマナーモードを切っておいた杏寿郎のスマホが鳴り、新着メッセージを報せる。
開くと桜から『そろそろお開きになりそうです。南口の方に来ていただけると助かります。それから、皆が会いたいそうです。』と表示されていた。
杏寿郎はパッと顔色を明るくさせると、すぐに返信を打ちながら車の鍵を取って颯爽と家を出た。
「わ、もう出たみたい。待たせてしまっていたのかな…。」
菫(新婚さん……。)
4人は杏寿郎の到着に合わせて席を立つと建物の外に出て、車を停めやすそうな道まで歩く。
すると間もなく杏寿郎の車が止まった。
杏「桜!!!」
窓を開けて真っ先に桜に満面の笑みを浮かべる杏寿郎を見て、3人の友人は『この人になら桜を任せて大丈夫だ』と直感した。
「杏寿郎さん!ありがとうございます!」
杏「うむ!化粧をしてもきちんと1人で行けたな!凄いぞ!!」
杏寿郎は嬉しそうな桜を愛でるように撫でていると視線を感じ、『皆が会いたいそうです。』と言われた事を思い出した。
そして一瞬固まった後 落ち着きを取り戻して車から降りる。