第82章 新しい外への向き合い方
蓮「それでどんな人なの?」
その問いに桜は菫に手鏡を返しながら恥ずかしそうに目を伏せて口を開く。
「杏寿郎さんっていう人で……前に3人に相談した時の人なの。今は同じ高校で、」
桜がふと視線を上げると皆目を大きくさせて眉を顰めたり、眉尻を下げたりしていた。
「待って、まず順を追って話すね。あの時の事は私が悪かったの。今は産休中でいないんだけど私とそっくりな先生がいて―――…、」
それから桜は 自身の勘違い故にすれ違ってしまったことや、昔から知り合っていた事を思い出したこと、杏寿郎がとても一途であったこと、今は結婚を前提に家同士の交流もある付き合いをして同棲していること等を伝えた。
紅「なんというか……情報量が多くて…………、」
蓮「私は桜ちゃんが幸せならいいわ。」
菫「私より新婚さんっぽい……。」
「新婚さん、かあ。」
桜は大正時代の1月に出会ってすぐ杏寿郎と婚約し、長い間ふたり暮らしと似たような生活をしてきた。
任務同行で一緒に居られなかった時期もあったが、あちらに行っていた時間は約1年である。
そして今の同棲はこちらに戻ってから2年もすれ違った後の漸くのものであった。
(皆には説明できないけれど、新婚生活と言うより……、思い入れのある、やっと手に入れられた大切な生活、かな。)