第82章 新しい外への向き合い方
翌日の月曜日、2人の部活動が終わると夜21時までやっているショッピングモールへ早速大きめな帽子を見に行った。
「うーーーん……。」
杏「どうせなら愛らしいものにしたらどうだ。ちょうど夏になるので日焼け防止用のものが豊富にあるな。」
「でも目立ってしまいませんか?私が前被っていたものはベージュで何にも装飾がついていないとーってもシンプルなものでした。」
杏「だがそれだと君がつまらないだろう。明るい色に抵抗があるのならこの濃紺の物はどうだ。パッと見たらシンプルだが付いているボタンが凝っていてよく見ると愛らしいぞ。」
「わ、ほんとだ…。これにします!」
桜は散々迷っていたが杏寿郎に提案されるとすぐにそれを手に取り、『杏寿郎さんが選んでくれて嬉しいです。』と喜びながらレジへ向かった。
杏寿郎はその様子を愛おしそうに見つめながら何度も頭を撫でた。
杏「君はフルネームと顔が一部の人間に知られてしまっている。なのでいっその事 自身を芸能人だと思うと良い。」
「なるほど!!」
桜はイメージを掴んだらしく、スッキリとした表情になった。
それでも杏寿郎が隣にいる今はころころと変わる表情を買ったばかりの帽子で隠そうと思いもしない。
帽子を被らないという事はこの日から杏寿郎への絶対的な信頼の証となった。