第81章 友人の結婚式と杏寿郎の考え
「……はい。」
杏「君に帽子を被せるのは心苦しいが、悪い人間に目を付けられそうな時は身を守る為に被ってくれ。だが、一緒にいられる時は好きに着飾って良い。化粧もだ。俺が必ず守る。好きに笑って歩いてくれ。」
「……え…………………?」
今まで『そのような顔をしては駄目だ』『化粧は必要無いのではないか』と散々言われてきた桜は呆けてしまった。
その今までの言葉は桜の身を案じる他に、勿論 独占欲も混じっていたが 桜の気持ちを聞いた杏寿郎は何よりもそれを叶えさせてやりたくなったのだ。
杏「うむ、ではこの話はこれで終いだ。早く泡を流して湯に浸かろう。」
「え、あの、」
桜は杏寿郎が流した泡と共にさっぱりと纏う空気を変えると雰囲気に流されるまま湯船に入る。
(本当に良いのかな……。)
「あの、前に使ってた大きな帽子、この間捨てちゃったんです。1人で歩けそうだからもういいかなと思ってしまって…。一緒に買いに行ってくれませんか?」
杏「うむ!勿論良いぞ。」
眩い笑顔を向けられ大きな手で頭を撫でられると桜は戸惑う気持ちなどどうでもよくなり、ただ嬉しそうに微笑んだのだった。