第81章 友人の結婚式と杏寿郎の考え
杏「むぅ。もう怒ってはいないぞ。」
杏寿郎は深い反省から戻ってこない桜に困った様に眉尻を下げた。
「色々と許してはならない自身の行動について反省しているので時間がかかっています。お気になさらずお風呂に入っててください。」
杏「断る。」
杏寿郎はそう言うと頑固な桜を抱えて寝室へ向かい、色留袖を丁重に脱がしていく。
そして仕舞うべき物を仕舞うと、今度は脱衣所へ連れて行った。
杏「必要な分だけ反省するスタイルは昔から変わっていないようだな。君に『時間をかける反省も必要な時がある。』と言われた時『確かにそうだ』と思ったが、俺の事についてとなると止めたくなってしまう。」
杏寿郎は抵抗もしない上の空の桜を脱がし終えると少し不満そうに眉を寄せる。
そのまま風呂へ入り体を洗うも桜は変わらず真剣な顔で何かを考えたまま特に反応せず、柔らかい空気にも、勿論甘い空気にもならなかった。
杏「桜、構ってくれ。」
杏寿郎はとうとう拗ねると桜の肩を強めに噛んだ。
そして桜は痛みに少し目を瞑るとやっと杏寿郎と視線を合わせた。