第81章 友人の結婚式と杏寿郎の考え
天「じゃあ、俺達ここら辺で帰るわー。」
「部外者なのにお邪魔してすみませんでした。」
杏「藤木夫妻、お幸せに!皆もまた会おう!!」
それぞれが挨拶をすると、桜をもっと紹介してくれと男達が寄って来てしまった。
杏「駄目だ。もしもの時、友人を疑いたくはない。」
(もしもの時…疑う……?)
桜は首を傾げながらも手を引かれるまま杏寿郎と天元と共に皆を残して店を出た。
天「なあ、お前ってさ過保護すぎねぇか?桜の友人関係とか考えてる?」
杏「それは……、だが…、桜がまたストーカーに狙われるような事になったら、」
そこまで言ってピタッと固まった杏寿郎を見て、桜はそのストーカーが今年の男ではなく 7年前のみのるを殺した男のことだと気が付いた。
(そっか……。杏寿郎さんは春から冬にかけて尻尾が掴めなかった私の誘拐事件の事を気にしてたんだ。みのるの事ばかり思い出していたけれど、誘拐されている間だってお父さんもお母さんもみのるも心配しただろうな…。もしまたそうなったら杏寿郎さんも……、)
そう思ってから杏寿郎がやたらと『攫われてしまうぞ。』と言っていた事を思い出す。
桜はそう言われる度に『大袈裟で過保護で少し困るけど可愛らしい』だなんて感じていたが、それは桜が実際にそういう目に遭っていたから出た "大袈裟とは言えない、むしろそう思うのも無理はない危惧" 故のものだったのだ。