第81章 友人の結婚式と杏寿郎の考え
桜が着ていたのは場にも相応しく、見た目で馬鹿にされないと思った色留袖だ。
長い髪は上に上げられ、蜜璃にされた化粧による目を見張るような華やかさと、落ち着いた表情から色気のある大人っぽさが出ている。
女「え……うそ、 "あの" カナエ先輩……?」
男「うわ、カナエ先輩だ。…あれ?でも若くねーか。」
女「カナエ先輩じゃなくてニュースで見た子じゃない……?雰囲気違うけどすごい綺麗……。」
男「あれってさっき言ってた煉獄の……、」
カナエと1つ違いだった杏寿郎の同級生達は桜を見て混乱しつつも惹き付けられ、もっとよく見ようと集まってきた。
それを感じ取ると杏寿郎は漸く桜から体を離して自身の背に隠すように立った。
杏「カナエ先生ではない。カナエ先生とは別人で俺の自慢の恋人だ。では少し早いが失礼する。」
天「まー待てって。桜が何でわざわざここへ来たと思ってんだ。桜、あいつらだ。」
天元はそう言いながら例の女性達を顎で示す。
桜はそれに頷くと迷いの無い足取りで杏寿郎の背から出た。
杏寿郎は桜が背から出てくるとは思っていなかった為 反応が遅れた。
そしてその隙を突いた天元に羽交い締めにされた。
杏「宇髄!離してくれ!!桜の姿を見たろう!!」
天「ああ、派手に良い女になってたなぁ。」
杏「次そんな目で桜を見たら君の目を潰すぞ。」
天「相応しい感想を言ったと思ったけど!?」
そんなやり取りを尻目に桜は女性達の目の前まで行くとにこっと微笑んだ。