第81章 友人の結婚式と杏寿郎の考え
「ふふ、私の事みたいに嬉しい。それに学校に好きな人がいるってとっても青春だと思う。」
蜜「そうなの!伊黒さんの授業中はずっと頬が熱くて熱くて…でも私一生懸命聞いてたのよ!」
それを聞くと桜は『伊黒さんの方が熱くなってたかもしれないよ。』と笑った。
その時、蜜璃のバッグからブブッとスマホのバイブ音が鳴る。
「あ、好きに見てね。もし伊黒さんだったら『蜜璃ちゃんを独り占めするな。』って怒られちゃうもの。」
桜が少しからかうように笑うと蜜璃は真っ赤になって顔を抑えながら『まだ下の名前は早いと思うの!!』と言った。
「私は煉獄家にお世話になってたから最初から下の名前だったなあ…。確かに名字から下の名前に移るタイミングって難しいかもねえ…。」
(前世での経験はリセットされてしまったのかしら…。)
そう思いながら桜はバッグを手で示し促すように微笑む。
蜜璃は眉尻を下げて少し申し訳なさそうに微笑みながらもバッグに手を伸ばし、『私はお父様、師範、千寿郎くんって呼んでいたわ。』と言った。
(師範……格好いい響きだなあ…。)
そんな事を思っていると、蜜璃がパシッと片手で口を押さえる。
「…?………蜜璃ちゃん…?何かあったの……?」
蜜「大変…大変だわ!桜ちゃん!!」
そう言うと蜜璃はあわあわとしながら抵抗する桜の服を脱がせ、クローゼットへ向かい、服のコーディネートをし始めた。
桜は必死に何度も何があったのかを訊いたが蜜璃の耳には届かず、当然力も叶わなかった。
(一体何が……お外に出るつもりなら何とか話を聞かなきゃ…!)