第81章 友人の結婚式と杏寿郎の考え
男「……なあ、煉獄。さっきまでそれしてたか?」
杏「指輪か?先程付けたが。」
男「だからか!あるなら先に付けとけよー!それかもういっその事最後まで付けんな!誤解されちまうかもしれないぞ!」
天「あー……。」
杏「それはどういう、」
天「手遅れだ。既にもう言われてる。」
天元が目配せした先に視線を遣ると、明るくなった会場で何人かの女性達が杏寿郎を睨んでいる。
杏「…………俺は彼女達に何かしたのだろうか。」
天「あいつらが今言ってる事をマイルドに伝えるとだな、 "お前については" 『初めは指輪を外して期待させた』、『タイプが居ないって分かってから指輪するとか最低』、『浮気する気満々じゃん』『遊ぶ女を漁りに来てたんだ』って感じだ。」
杏「なるほど!それならば放っておいて大丈夫だな!!」
杏寿郎は晴れやかな顔色になると女性達からパッと視線を外して料理を綺麗に、そして美味しそうに食べ始めた。
天元はテーブルに肘をついてそれを眺める。
天「相変わらずサッパリした思考回路で。」
杏「宇髄、肘をついては駄目だ。家ではないんだぞ。」
天「はいはい。」
天元は大人しく肘を浮かせるとやろうと思えば出来る綺麗な所作で食べ始めた。
男「なあー俺達まで女性陣に睨まれてんだけど…!」
男「お前等と違って俺はこういう機会を大事にしてんの!貴重なの!職場は男しかいねぇんだぞ!!」
男「どうにかしてくれよぉ……。」
そう口々に泣きつく友人に杏寿郎は『君なら魅力がたくさんあるのでもっと素敵な女性と上手くいくだろう!!』と本心からの激励を述べ、更に自身が思っていた具体的な魅力例を挙げ続けて何も言えなくさせた。