第81章 友人の結婚式と杏寿郎の考え
特別仲が良かったとまでは言えない友人であった為、参加は披露宴からだ。
杏寿郎はビジネススーツでも両家顔合わせに仕立てた濃紺のスーツでもなく、こういったフォーマルな場の為に前々から仕立ててあった黒のスーツを着て 落ち着いた赤い色のネクタイをしている。
そのネクタイには勿論桜から貰ったタイピンがあり、腕にも桜から貰った腕時計がある。
そして目を引く綺麗な色の髪は場が場なので、桜の許可の元 高い位置で結った正装に似合うポニーテールにしていた。
そんな風貌な上に大人の落ち着きも加わった杏寿郎は誰がどう見ても凛々しくも品のある美男で、入場して来る新郎新婦ではなく杏寿郎ばかり見ている女性も少なくはない。
杏(視線を隠すという事もしないとは。新郎新婦に失礼だろう。)
杏寿郎は新郎を見つめて微笑み拍手をしながらも 女性達に少し呆れて心の中で息をついた。
そんな杏寿郎に隣の天元が耳打ちをする。
天「タメの女は20代も残り僅かだ。気を付けろよ。」
どこか楽しそうな声に眉を寄せながら『君の方が俺よりも話し掛けられるだろう。』と返した時、新郎新婦が席に着いた。
そして披露宴の開宴の挨拶が行われると2人の紹介がされ、主賓が挨拶し、漸く乾杯となる。