第81章 友人の結婚式と杏寿郎の考え
杏寿郎は離れそうにない2人を見て少し安堵の息をつきながら桜の頭を撫でた。
杏「そうか。2人とも信頼しているぞ。……では、行ってくる。」
「「行ってらっしゃい!!」」
定期試験が終わって採点の仕事も落ち着きそうな頃、6月の花嫁が待つ式場へ杏寿郎は足を進めた。
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天「よぉ。」
杏「む、宇髄か。丁度良い。君といれば流石に俺は目立たないだろう。一緒に居させてくれ。」
天「あのなあ。逆効果だと思うぜ。」
特に待ち合わせをしなかった2人は会場で会うとそのまま一緒に席へと向かった。
同じ高校だった為 新婦側の席にも知り合いの女性が居たが、一切視線を遣らないようにしながら新郎側の席に行けば懐かしい顔ぶれが揃っていた。
杏寿郎が同性を好きだという噂と天元と出来ているという噂を聞きながらも仲良く過ごした仲間達だ。
2人が一緒に行けば遠慮を知らない彼等はすかさずそれに触れる。
男「久しぶりー。お前ら本当に付き合っ、」
杏「俺が恋人を作らなかったのは生まれる前から心に決めた女性がいたからだ。今は結ばれたし彼女にしか興味は無い。」
学生時とは違う落ち着いた声色と迫力に友人達は思わず固まってしまった。
それを見て天元が苦笑いする。