第81章 友人の結婚式と杏寿郎の考え
そんな幸せな日から遡ること約2ヶ月前―――、
杏寿郎は郵便物を手に取ると『やはり最近増えたな。ラッシュというやつだろうか。』と呟いた。
その手元にあるのは友人の挙式の報せだ。
杏(高校時代から2人は付き合っていたのだろうか。全く気が付かなかった。桜を1人にさせたくないが祝うべきだろう。)
「杏寿郎さん?何か来てましたか?」
隣に居た桜がそう問うと杏寿郎は結婚を急かしてしまうような気がしてそれを隠した。
杏「いや、大した物はない。少しここで読んでしまっただけだ。行儀が悪かったな。行こう。」
「…………はい。」
桜は少しだけ複雑そうな顔をしたが素直に頷く。
杏寿郎が話しそうにない事を悟ったからだ。
杏(しかし……、出席すること自体は良いのだが…。)
杏寿郎は同年代の若者が集まる結婚式に出席する度に 結婚に焦っている女性に群がられていた。
祝う事はめでたい事なので構わなかったが、それが少し億劫だったのだ。
杏(女性となると宇髄のように手荒に扱うわけにもいくまい。)