第80章 遅れたお祝い
そうして杏寿郎がほぼワンホールを食べ終えると、今度は店員に預けておいたプレゼントを持ってきてもらった。
「あの……何選んだらいいか分からなくて…、でも調べたらこれがいいって書いてあったからたぶん大丈夫だと思うの。杏寿郎さんに似合うと思うのを選んだから 良かったら使って下さい。」
そう言いながら桜が立ち上がって杏寿郎に3つの紙袋を差し出すと杏寿郎は手を伸ばしてから固まる。
杏「3つもあるが、この中から1つ選べば良いのだろうか。」
見ればどれも有名ブランドのロゴが入った紙袋だ。
杏寿郎の言葉を聞いた桜は眉尻を下げた。
「これでも絞ったんですよ!キーケースとお財布も買おうとしたらさなちゃんに怒られて…。」
杏寿郎はその時やっと先週に桜が何をしていたのかを悟り、そして眉をハの字にさせて心底嬉しそうに微笑んだ。
杏「そうか。では全て有難く頂くとしよう。」
それから桜は店員の勧めで椅子を移動させてもらい、杏寿郎の近くでプレゼントを開ける様子を見させてもらった。
杏「ネクタイか!それに5本…毎日君から貰ったネクタイとタイピンを付けられるのか。これは良い。」
杏「綺麗な万年筆だな!これも毎日胸ポケットに入れておこう!」
杏「…腕時計か。何から何まで身につけられる物だな。」
全て開けると何故か杏寿郎は俯いた。