第80章 遅れたお祝い
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実「俺は妊婦の嫁を置いてきてわざわざお前ん家に来たんだぞォ。しょうもない話だったら、」
杏「桜が俺の誕生日を……祝ってくれていない。」
天「延期を求められて月が変わったらしい。」
それを聞いて実弥は暫く黙った後、『そんなモン俺に言っても何にもならねェだろォが!!』と言って帰ろうとした。
しかし杏寿郎が立ちはだかる。
杏「君は少々掴みどころのない抜けた奥さんを持っているだろう。」
実「オイ……ぶっ殺すぞォ……。」
天「待てって。」
杏「少し桜と似ている気がするんだ。だから考えている事が分かるかもしれないと思って…。最近やたらとスマホを楽しそうに見ていて俺とちゃんと話さない事も増えた。そして日曜のデートも初めて断られた。」
実「……お前ら毎週一緒にいんのかァ。それにお前、それは……、」
実(そこまで聞けば流石に分かる。明らかにプレゼントを用意してるんだろォ。宇髄なら分かるは、ず……、)
目を遣った先で天元は片手を『ごめん』と言うように立て、舌をペロリと出していた。
するとビキッと実弥の額に青筋が浮かぶ。