第80章 遅れたお祝い
「あとは1個かあ。腕時計か、キーケースか、お財布……。」
桜は少し『うーん。』と悩んでから決心したように頷く。
「うん、腕時計にしようかな。ずっと身につけてもらえるし…。おんなじブランドで買えたらもっと良かったのになあ。」
早「あー…それ確かに女性向けのブランドだもんね。」
早苗はもう桜の腕時計を見ても驚かなかった。
早くも切り替えて桜と一緒に悩み、腕時計の高級ブランド店へと入る。
「え"……腕時計ってこんなに高いの……?さすがに手が出ないや……。」
早「いや、皆こんなの付けてるわけじゃないからね。ぴんきりだよ。」
「そうなんだ…。」
早「ここは高すぎるからさ、隣のブランドが良いんじゃないかな。日本のブランドで信頼も厚いけど値段は手頃…って感覚が私も狂ってきたかな。」
「あ、ほんとだ!私でも知ってる有名なブランドさん!」
そうして桜は最後のプレゼントである腕時計を買い、あとは貯金することにしたのだった。
早「ほくほくって感じだね。どこでお祝いするの?レストランで?それとも家?」
「ちゃんと調べたの!ムードのあるレストランでサプライズケーキをプレゼントすると喜ぶんだって!レストランたっくさん調べたんだよー!」
早「それ女の場合ね。」
「え……男の人には微妙なのかな…?もう予約したお店にサプライズを頼んじゃった……。」
既に頼んだとは思っていなかった早苗はギクッと体を震わせると困った様に笑いながら桜の頭をぽんぽんと撫でた。
早「まああの人なら桜が何しても死ぬほど喜ぶと思う!!」
「そっかあ!喜んでくれるといいなあ。」
桜は杏寿郎が不安がっている事を露知らず、心底嬉しそうに微笑んだ。