第80章 遅れたお祝い
早「うんうん、頼もしくなってる。久しぶり、桜!体も戻ったね!」
「うん!今は落ち着いてるからねえ。」
2人は手を取り微笑み合うと早速紳士向けの店を目指した。
早「あ、じゃあまだ何にするかまでは決めてないのね。」
「うん…。選べる気がしないからボールペンも腕時計もネクタイもキーケースもお財布も買おうかとは思ってるんだけど具体的な物は今日中に見付け、」
早「ストップ!重い重い!!」
「え"っ」
早「第一予算いくらよ。」
「えっと、80万まで出そうと思っ、」
早「どんな生活したら社会人3ヶ月目でそんな発想に至るの!?」
「杏寿郎さんが全て払っちゃうの!だからお給料ほとんど手付かずで…今までの貯金もあるし…。」
早苗は『そもそもの給料がおかしいけどね。』と遠い目で呟くも『全部はさすがにだめ。せめてボールペンとネクタイ、それからあとは1つにしなさい。』とはっきり言った。
(ボールペンか…毎日胸ポケットに差してくれたりして…。色はやっぱり瞳と髪の色に合わせて金…は無いだろうから赤っぽいのがいいかなあ。)
「あ!これ鮮やかじゃなくて落ち着いてる赤だけど格好いい!万年筆かあ。ペン先も模様が入っててオシャレだし名前も入れてくれるって!」
早苗はチラッと見てそれがなかなかの値段である事を確認したが、普段の杏寿郎がどれだけ桜を大事にしているかを聞いた後だった為、心底嬉しそうな顔をする桜に ただ『とっても喜ぶと思うよ。』とだけ言った。
そうして万年筆を無事に購入し、次はネクタイを選ぶこととなった。