第80章 遅れたお祝い
(我ながら最低だと思うけど、遅れた分たくさんお祝いしよう…。)
杏寿郎の誕生日は桜が1番澄滴に苦労していた地獄の教育実習期間中だった。
そして桜は1つの事しか見えなくなる時がある。
それでも誕生日はさすがに忘れていなかったが、心から祝える自信がなかった為に『お祝いを延期させて欲しい』と願い出たのだ。
勿論、祝いの言葉は述べたし 夕飯も豪華にしたが、ケーキやプレゼントはまだである。
天「は?誕生日祝わないタイプなの?あいつ。」
杏「延期しているだけだ!妙な言い方をしないでくれ!!」
天「でも5月終わってんじゃん。忘れちゃったんじゃねーの?」
杏「………………………………。」
6月1日の火曜日 学校の昼休みにて、天元の言葉に対し杏寿郎は口を開けたが言葉を詰まらせた。
前々から桜にドライな一面がある気がしていたからだ。
からかっていた天元はまさかの反応に笑顔を引きつらせる。
天「え、まじで……?なかなか薄情だな。普通、記念日って女の方が大事にす、」
杏「桜は薄情なんかではない!!誕生日も忘れるような子ではない!!」
天「ふーん。」
大きな声を聞いて急に興味を失くしてしまった天元に杏寿郎は必死に桜のフォローをしたが、『もしかしたら忘れているかもしれない』という可能性がほんの少しでもある事を自覚すると寂しさを覚えてしまった。