第79章 サイコロステーキ先輩
杏寿郎はすぐに踏み込まず、澄滴の攻撃を流したり スレスレの所で躱したりしていた。
澄(柱……?これが……?俺に圧されてるのによく言う!!散々コケにしやがっ)
杏「小手ッ!!!」
あまりにも強烈な小手に澄滴は竹刀を取り落とした。
審判を務める佐々木がパッと杏寿郎の有効打突を認める赤旗を上げる。
打ち込まれたその腕は桜が痣を付けられたのと同じ左腕だった。
じんじんと痺れた後に激痛がやって来て澄滴は思わずしゃがみ込んだ。
杏「む、きちんど防具の上に当てたのだがな。もう降参だろうか。」
澄「そんな筈ねぇだろ!!」
杏寿郎の心配するような声音に澄滴はあっさり乗っけられる。
そして佐々木が旗を下ろし再戦の合図をすると、 澄滴は怒りのままに攻めに攻め 再び自身が圧しているような気分になった。
澄(やっぱりさっきのはまぐれだったん、)
杏「小手ッ!!!」
澄「……ッッ…………ッ!!!」
澄(何でまた左腕……それも全く同じ場所じゃねぇか…!!)
杏「酷く痛そうだ。俺も心が痛む。賽子先生、降参を、」
澄「しつこいな!!途中で止める訳ねぇだろ!!ねちねちしやがって…来い!ぶっ殺してやるよ!!!」
澄滴は既にいくつも反則をしていたが、勿論この言葉もそうである。
剣道部員達は どんなに厳しくても心の底から慕っている杏寿郎に暴言を吐き、そして剣道を冒涜する態度を取り続ける澄滴に嫌悪感を抱いた。