第79章 サイコロステーキ先輩
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杏「皆 遅れてすまない!!剣の心得がある賽子先生が俺の相手をしてくれるというので話をしていた!!今からするので場所をあけてくれ!!!」
自主的にウォームアップをしていた剣道部員達がその発言に目を輝かせる。
『へぇ、サイコロステーキ先生って剣道やってたんだ。』
『煉獄先生には勝てないだろ。小中高大って全国一位だったんだぜ。』
『でも試合をするんだから相当自信があるってことだよな。』
澄滴はそんな部員達の言葉を聞きながら生きた心地もせず防具を借りた。
杏「勿論突きはなしだ。面、胴、小手のみで……そうだな、この様な機会はなかなか無い!特別に片方が10本取るまでやるとしよう!!」
それに部員達がざわつき、澄滴は冷や汗を流す。
澄(ボコボコにされる…生徒達の前で……。)
杏「佐々木部長!審判を任せて良いか!!賽子先生の反則はカウントしないでくれ!!時間制限も無しだ!!!」
佐「は、はいっ!!」
2人が向かい合うように道場の端に立つと部長が両者の名を呼ぶ。
すると2人は2歩進んで礼をし、更に3歩進んで竹刀を構え、一度しゃがんだ。
澄滴は剣の心得はあったが剣道は習っていない。
全て杏寿郎を真似て行った所作は酷く辿々しく、部員達は呆気に取られて口を開けた。
しかし、構えた状態で佐々木が『始め!』と開始の合図を出すと バッと立ち上がり、それなりの身のこなしを見せる。
『動きはまあまあ良いけど…剣道ではないよな。』
『煉獄先生、何考えてんだろう。』