第79章 サイコロステーキ先輩
澄「何言っているのか分かりませんね。同意の上ですよ。」
杏「彼女の腕に酷い痣が出来ていた。男の手形だ。強い力で掴まれ続けた証拠だろう。」
澄「だからそれを向こうが望んでたんですよ!!」
杏「彼女が君にそう思わせる素振りを一度でもした事があったか。」
澄「いや、だから俺、あいつを口説いたんですって。」
杏「意味が分からないな。それに彼女は君の交際の申し出を断った筈だ。」
澄「だから照れ隠しだって言ってんだろ!なんで分かんねーんだよ!!」
杏「君が彼女に一方的に好意を抱いてアプローチし 断られ、そしてその後も嫌がる彼女にしつこく付き纏った挙句、最終的に腕を痣が出来る程強く掴んでホテルに引き摺り込んだ。……これが正解だ。」
澄「は…………?」
杏「驚いたな、本当に分かっていなかったのか。因みに此処へ呼び出したのはこの話を他の者に聞かれたくなかったからだ。暴力を振るう為ではない。 "それ" も無駄だ。」
そう言って杏寿郎は教室のドアを一瞥する。
初めから盗撮を分かられていた事を悟ると澄滴は少し狼狽えたが、暴力はないと聞いて余裕を取り戻した。
しかし、再び重たい殺気が放たれる。
杏「俺は罪を犯して彼女と居る時間を減らしたくない!!だが何もしないでいると言うのも無理がある!なのでこれから剣道場へ行き、ルール内で俺と試合をしてもらおう!!君も昔は剣をやっていたのだから問題はあるまい!!!」
そう朗らかに言い放つ杏寿郎は声色に反して怖い程の真顔で、重たくなり続ける殺気から澄滴はとうとう頷いた。