第79章 サイコロステーキ先輩
杏「……それで、具体的には何をされたんだ。1から10まで教えてくれ。」
杏寿郎は駐車場から家に入るまではずっと無言でいたが、リビングテーブルに桜を座らせるとそう訊いた。
そして桜は貞操は守れたとは言え こわごわと口を開いた。
「……部活終わりに職員室へ行ったらそこで待っていてくれている筈だったのに賽子先生以外の同期の先生が居なくって、それで私 藤堂先生に連絡しようとしたのですが その前に賽子先生に腕を掴まれて引き摺られて……、それで『ここが会場だ』って言われた場所がラブホテルだったんです。」
「私、ラブホテルって存在は知っていたのですが見たのは初めてで……でも嫌な予感はして逃げようとしたんです。でもやっぱり力が強くて結局部屋まで引き摺られて……、ベッドに投げられて…、シャツを……それからスカートも壊されて、キャミソールも取られてストッキングも破かれました。」
「服以外にされたのは…キス、と……、胸元に華を付けられて…あとは濡れてるか確かめるために下着の上から触られました。あとは…賽子先生のを見せられたくらいかと…。」
杏「…………………………………………。」
暫く沈黙が続き、その間 杏寿郎はテーブルの上に置いていた拳を握り締めていた。
杏「……どうやって逃げたんだ。」
「す、隙を突いて思い切り股間を蹴り上げました。後は服とカバンを持って脱兎のごとく……。」
それを聞くと杏寿郎は拳の力を少し緩める。
杏「そうか。避けられなかったのであれば…抵抗しても引き摺られたのであれば……それが1番良い結果だったのだろうな。」
そう言う杏寿郎の声は静かであったが怒っている事がよく伝わってきた。