第79章 サイコロステーキ先輩
(ポジティブを通り越している気がする。詰められた分 私が距離を置かないと…。)
桜が鬼殺隊に関わっていた事を盗み聞きした澄滴のカミングアウト曰く、彼も鬼殺隊士の生まれ変わりであるとのことだった。
しかし桜が鬼殺隊に貢献する前、那田蜘蛛山にて十二鬼月と壮絶な戦いをし 後少しで首を落とせそうだった時に鬼の卑劣な策によって辛くも命を落としたそうだ。
その事を那田蜘蛛山に赴いた義勇やしのぶに訊いたが心当たりが無いようで、ダメ元で炭治郎に聞いてみたら苦笑いをされた。
炭「確かに賽子先生はいましたが…。」
炭治郎は言い淀んでそれ以上は言わなかった。
(鬼と命を懸けて戦っていたのなら悪い人ではないと思うのだけれど…。)
日増しに近くなっていく距離感に桜は溜息をつく。
しかし教室前に着くとパッと空気を切り替えて扉を開けた。
―――
時は4月に遡り———…
杏「…………何だ、あの男は。」
見つめる先に居た男が誰なのかくらいは知っている。
ただ、『何をしているのだ』と思ったのだ。
澄「つまりさ、一ノ瀬先生はまだ婚約もしてないんだろ?」
「それは…、そうですが、その…仕事中ですよ。」
桜は明らかに困った顔をしているが男はそれに気付いている様子はなく、距離も近い。