第78章 江ノ島観光
「ただいまぁ。久しぶりに感じるー。」
杏「ただいま。確かにそうだな。」
杏寿郎が靴を脱ぐ為に運転中以外ずっと繋いでいた手をパッと離すと 急に寂しくなった桜が杏寿郎の背中にパフッと張り付く。
杏寿郎はそれに目を大きくさせてから笑った。
杏「お台場の時と逆だな!離れるのが寂しくなったか?」
「………………はい…。」
背中に頬擦りをする桜の腕を引いて今度は杏寿郎が後ろから包み込むようにすると桜の靴を脱がせる。
杏「これでまたくっつけるぞ。」
そう言いながら手を引いてリビングまで向かう。
桜はそんな優しい杏寿郎の熱く大きな手を見つめながら何度も握り直した。
それから2人は土産の袋を開け、ソファにぬいぐるみを置いたり、棚の上に硝子細工の猫を置いたり、マグカップを洗って食器棚へ仕舞ったりした。
杏「よもや!買った覚えのないものがあるぞ!!」
「あ、それはっ、」
杏「恐らく他の客の土産が袋に入ってしまったのだろう!!早く水族館へ連絡しなければならないな!!」
「ま、待ってください!それは私から杏寿郎さんへのプレゼントです…!!」
そんな事は始めから知っていた杏寿郎は初めて知ったかのような顔をしてパッと笑みを浮かべる。
杏「そうだったのか!タオルだな。部活の時に生徒に自慢しよう!!ハンカチもあるのか!こちらは授業の時に生徒に自慢しよう!!」
「自慢はしなくて良いです!!」
そう注意しながらも桜は楽しそうに笑っていた。
それから買ってきた夕飯をゆっくり食べると、潮風を浴びた2人は再び一緒にお風呂に入ってのんびりとお湯に浸かり、早めにパジャマに着替えて布団へ入る。
(眠い……今日はさすがに杏寿郎さんも疲れただろうし しないかな…。)
そう思っていると丁度そのタイミングで杏寿郎が大きくなった物をグリッと押し当ててきた。
「杏寿、」
杏「桜、そろそろ良いだろうか。」
桜は一瞬驚いて目を丸くさせたが『杏寿郎さんらしいな…』と心の中で思うと笑って『もちろんです。』と答えた。
そうしてまる1日を費やした小旅行は更に互いの絆を深めて終えたのだった。