第78章 江ノ島観光
それからネコザメを撫でたり、デッキのベンチに座ってまったりして過ごし、桜の瞼が少し眠そうにとろんとしてきたところで席を立って出口へと向かった。
出口付近にある売店でも2人は職場用に2種類のビスケットとチョコが3段の箱に入っている土産を買い、杏寿郎は桜用にカワウソの靴下や大きなイルカのぬいぐるみを買い、2人用には揃いのマグカップとイルカのキーホルダーを買った。
(私も杏寿郎さんに何か買いたい…でも1人になれないし、どうしたら……、)
「杏寿郎さん、あの……、良いって言うまで目を瞑ってて下さい!お願いです。瞑っててくれなければ手を離さないといけないです。」
良い理由が見つからなかった桜がそう正面から頼むと、杏寿郎はあっさりと目を閉じる。
杏「手はしっかりと握っててくれ!!」
「はいっ」
桜は杏寿郎が部活で使えるようにとフェイスタオルとタオルハンカチを購入した。
そしてそれを杏寿郎が持っている大きな土産袋の中にこっそりと隠す。
「もう良いですよ!!」
杏寿郎が目を開けると桜は眩い笑顔を浮かべていた。
杏寿郎はレジの音が聞こえてしまっていた為 桜が何をしたのかは分かっていたが 気付かないふりをし、『なにをしていたのかは秘密です!』と嬉しそうに答え続ける桜に『むぅ、気になるな。』、『ヒントをくれないだろうか!!』と頼み続けた。
2人は売店を抜けて外に出ると車まで歩き、帰路につく。
杏「朝から歩き回って疲れたろう。家へ着くまで寝てていいぞ。」
「帰り道も杏寿郎さんと楽しみたいです。寝ません。」
桜の頑なな声を聞くと杏寿郎はもうそれ以上勧めなかった。