第78章 江ノ島観光
それから2人は職場用に湘南しらすチップス、リーフぽてと、貝もなかを買い、自分達には硝子細工の他にも入口付近にあった商店で揃いの江ノ電をモチーフにしたストラップを買って『なんだか中学生に戻ったみたいですね。』と言って笑った。
杏「あとは水族館で買おう!」
「はい!水族館楽しみです!!」
そんな会話をしながら2人は車に乗り込み、水族館に駐車場がない事を知ると近くのパーキングエリアに車を停めてわくわくしながら手を繋いで水族館へ向かった。
立地故にその水族館は大きく、桜は全てに夢中になった。
そして水槽を次々に追っていくとあっと言う間に目玉の大水槽の前に出る。
「すごい…海の中にいるみたいです…。」
杏「本当だな。見事だ。」
2人は暫く大水槽の中で泳ぐ様々な魚と、それぞれが反応し合う様子を手を握りしめ合いながら見つめていた。
そして足が痺れてきた頃 漸くその場を離れ、順路を進む。
「く、クラゲ専門コーナーがありますよ!杏寿郎さん!ふよふよしてる…。」
杏「ああ、何年か前からクラゲは随分と人気になった。俺は刺されたことがあるので少し苦手意識があるがな。」
「え"っ」
杏「む、ちょうどあの様なものだった!」
そう言って指差した先に居たのは明らかになかなかの毒を持っていそうな大きく、そしてびろびろとした触手が長いものだった。
「よく無事でしたね……。」
杏「死にはしなかったが酷く腫れたな!腕が倍の太さになった!海藻かと思って何気無く払ったらクラゲだったんだ。ぐるぐるっと巻きつかれて無数の針で、」
桜は背筋がぞくぞくとしてくると杏寿郎の口を両手で押さえる。
そうされると杏寿郎は不思議そうに見つめ返した。
「ちょっとクラゲが怖くなってきたのでここを出ます。」
そう言われると杏寿郎は少し首を傾げて『そうか!』とくぐもった声を出した。