第78章 江ノ島観光
「い、いいです…。私ここで待ってます。」
その先に龍のオブジェがある事を知っていた杏寿郎はてっきり桜が喜ぶと思っていた為 きょとんとしてしまった。
杏「君はこういった物が好きなのではないのか。」
「………怖いのはきらいです。」
杏「だが…龍だぞ。好きだろう。」
「私が好きなのは玖ノ型です。」
それを聞いて杏寿郎は漸く桜が何故あの御朱印帳を選んだのかを知り、またその理由に自身が関わっていたことを知ると頬を緩めた。
杏「確かに燃える龍を見たと言った隊員が何人もいたな。君もそうだったのか。」
「はい。他の技でも杏寿郎さんが放つと炎のようなものが見えました。それがとっても綺麗で大好きでした。」
桜はそう言って微笑みながらちゃっかりと杏寿郎を出口へと導く。
杏寿郎は桜にそう言ってもらえた嬉しさから何をしようとしていたのかを忘れ、結局 龍に会わないまま岩屋を出てきてしまったのだった。
杏「今から仲見世通りへ戻ると昼飯時になるな!店を見つつ腹拵えをしたら水族館へ行こう!!」
「はい!!」
早くもお腹が空いてしまっていた桜は元気良く返事をした。
2人は仲見世通りに戻るとすぐにはごはん屋に入らず、少し店を見て回った。
「専門店が多いのですね。これも京都と似ています!」
杏「そうだな。何か2人で揃いの物を持ちたいが…、」
「ふふ、良いですね!それも探しましょう!」
それから硝子細工専門店に入って『見てください!猫の可愛い硝子細工がありますよ!』と言いながら横のグラスを倒しそうになったり、『良い匂いに溢れてます!』と言って走り出しそうになったりする桜を抑えながら杏寿郎は道を下っていった。
そして食べることが好きな杏寿郎も桜が言った "良い匂い" には抗えず、有名なたこせんべいを購入することにした。