第78章 江ノ島観光
杏「此方は彼の有名な源頼朝も奥州藤原秀衡を征伐する際に祈願しに来たと言われている。他にも岩屋は弘法大師や日蓮上人も修行した場である事が有名だな!」
「へえええーっ」
桜が食い付く度に杏寿郎は眉尻を下げて笑いながら頭を優しく撫でた。
杏「では君に選ばれなかった左の道にも行ってみよう!」
「何があるんですか?」
杏「確かな事は分からないが、富士山の氷穴に通じていると言われている。冷たい風を感じられたら信じてみると良い!」
「富士山!!」
桜は再び食い付き自分で歩きたそうにしたが、今降ろせば桜が転ぶような気がした杏寿郎は結局降ろさなかった。
「………あっ、今風が冷たかった気がします!!きっと通じてます!!」
杏「君がそう言うのなら通じているのだろう。よく分かったな!」
杏寿郎は桜の頭を褒める様に撫でると『ゆっくり歩くんだぞ。』と言ってからやっと下ろし、帰りは2人で来た道をゆっくりと歩いて戻った。
「楽しかったです!わくわくしました!」
そう言ってにこにことする桜に杏寿郎は口角をきゅっと上げた笑みを向ける。
杏「岩屋は2つあるぞ!特に次のは君が喜びそうだ!!」
「えっ!楽しみです!」
しかし実際の所、桜は喜ばなかった。
桜の視線の先には2つの道があり、左の大きい道からは怪しい赤い光が漏れている。
更に得体の知れない何かの恐ろしい鳴き声のような唸り声のようなものが『グワアアアア』と響いていた。