第78章 江ノ島観光
杏「桜!この隙間にカニがいるぞ!」
「えっ!食べられますか!?」
杏「それは勘弁してあげてくれ!!」
調子を取り戻した桜は杏寿郎に手を引かれながらもう少し海に近付こうと歩いていた。
桜は海の生き物を岩の隙間に見付ける度に座り込み、小さな子供のように目を輝かせて観察した。
杏「手を出しては駄目だぞ。君はもれなく指をハサミで挟まれそうだ。」
「う…痛そう。気を付けます!」
それから2人は杏寿郎の『これ以上行けば君が海へ落ちる可能性がある!』という意見からあまり先の方へは行かず、海を背景に他の観光客に2人での写真を撮ってもらうと稚児ヶ淵を後にした。
杏「おいで。次は岩屋へ行くぞ。」
「岩屋……?岩を売っているのですか……?」
その問いに杏寿郎は笑い声だけ返した。
―――
「洞窟!杏寿郎さん!洞窟です!!」
杏「うむ!洞窟だな!!」
杏寿郎は桜が1人で走り出さないように後ろから抱くようにしながら岩屋への入場料を支払った。
そして桜の手をしっかりと握ると『足元に十分注意するように!』と言ってから洞窟へと続く階段を降りて行った。
「すごい……洞窟の中にある博物館みたい…。」
杏「ああ、確かにそうだな!」
階段を降りた先の通路には江ノ島や岩屋についての歴史が書かれたパネルが並んでいる。
桜達はそれ等を丁寧に読みながらゆっくりと進んで行った。