第78章 江ノ島観光
エスカーを降りた後に続く石畳の道は階段がいくつかあり、アップダウンで少し体力を持って行かれたが 杏寿郎の言った通り店が立ち並んだ通りは歴史を感じさせる雰囲気があり、とても素敵なものだった。
「こういった昔ながらの道を見ると、中学生の時に行った京都を思い出します。」
杏「ああ、君の時も京都へ行ったのだな。ベタだが良い経験になった。」
「はい!!」
杏寿郎はその流れで自然と高校の修学旅行について話しそうになって口を噤んだ。
杏(駒校からは転校してしまったのだったな。転校した先の高校の修学旅行はどうしたのだろうか。……家に居たのだろうか。)
視線の先で桜がはしゃげばはしゃぐ程 杏寿郎はこれからもっともっと色々な経験をさせてやりたいと強く思った。
「鳥居!ここですね!奥津宮、タギミヒメノミコト様!!」
杏「多紀理比賣命(たぎ"り"ひめのみこと)だ!よく歩いたな!!」
「あ、タギリヒメノミコト様、ごめんなさい……。」
桜が眉尻を下げると杏寿郎は大きな手でぽんぽんと桜の頭を撫でる。
杏「こんなに嬉しそうにしながらやって来たんだ。女神様もきっと笑いながら優しく許して下さる。参拝するぞ。」
「は、はい!」
杏寿郎が優しくて嬉しくて桜は熱い手を何度も何度も握り直した。