第78章 江ノ島観光
「杏寿郎さん……?撮れましたか?」
杏「む、録画だぞ。」
「え!?静止画にしてください!」
杏「分かった!!!」
その声と共におびただしい数のシャッター音が鳴り響く。
桜は杏寿郎が間違えて連写してしまっているのだと思い 慌てて駆け寄ったが、杏寿郎はスマホを動かして明らかに桜の姿を捉え続けていた。
「えっ、あれ!?…わ、わざと連写しましたか!?」
桜が赤くなりながら少し戸惑ったように言うと杏寿郎は驚いた顔をする。
杏「……駄目だったろうか。」
「う。」
からかった訳ではないと知ると、桜は言葉を詰まらせながら昔 写真館で同じような経験をさせられたことを思い出した。
(……変わってない困ったところもちょいちょいあるなあ。)
眉尻を下げて自身の様子を窺っている杏寿郎を見ると 桜は毒気を抜かれて微笑んだ。
「からかわれたのかと少し勘違いしたんです。好きなだけ撮ってください。……容量には気を付けて下さいね。」
その言葉に杏寿郎はパッと顔色を明るくさせると『うむ!!』と頷き、桜を一通り撮影した後 自身も撮ってもらった。
「では次のエスカーの先がいよいよ忘れられちゃう事があるという、最後の女神様ですね!」
杏「そうだったら皆も行ってくれるのであろうが、エスカーを降りた後 少々歩くんだ。だがその間の道には仲見世通りのような店が立ち並んでいる。なかなかに面白いと思うぞ。」
「わあ!楽しみです!」