第77章 ※天元の入れ知恵と小旅行への出発
「杏寿郎さん?」
杏「もう日付けが変わってしまう。明日を思い切り満喫する為にそろそろ寝よう。登った先にある神社へも行きたいのだろう?」
「わ、ほんとだ…!はい!楽しくて幸せな時間は早く過ぎてしまいますね。江ノ島観光は明日からですが、今日もとっても大切な1日になりました。」
そう桜が はにかみながら言うと杏寿郎は口角を上げた微笑みのまま口をむずむずとさせてから桜を抱き締め直す。
杏「俺もだ。堪らなく幸せだ。どんどん君が大事になる。これ以上想いが膨れる事など無いと思っていたのに際限が無いんだ。」
「ふふ、嬉しいです。こんな素敵な人にそんなに想ってもらえるだなんて私は幸せ者ですね。」
杏「……客観的な感想だな。」
「ちゃんと私自身も思ってますよ。幸せすぎて、杏寿郎さんの言葉や仕草、全てが甘すぎて……頭が溶けてしまいそうです。あんまり私を甘やかしすぎると1人で何も出来なくなっちゃいますよ…?」
桜がそうふざけた調子で言うと杏寿郎は何も返さずにただ再び桜を抱きしめ直した。
そして薄く口を開く。
杏「………………早くそうなると良い。」
「……え?…すみません、聞き取れませんでした。」
らしくない小声で呟いた言葉を杏寿郎は結局 桜に教えなかった。
それから2人は寝る準備をすると 向かい合って緩く抱き合いながら穏やかな眠りに就いたのだった。