第77章 ※天元の入れ知恵と小旅行への出発
ふるふると震える様子を見て心配になった杏寿郎は桜の頬に優しく手を当ててその顔を上げさせた。
杏「…………よもや……笑っているとは思わなかったぞ。」
「ごめんなさい…、杏寿郎さんが可愛すぎて…。」
桜は涙を拭うと不満そうに眉を寄せている杏寿郎の頬を愛おしそうに優しく撫でる。
「これからもずーっと杏寿郎さんが1番ですよ。もちろん子供も大事ですが、杏寿郎さんの仰っしゃる "男" というポジションにはずっとずっと貴方しかいません。杏寿郎さんだって女の子が産まれたとしてもそうしてくれるでしょう?」
それを聞くと杏寿郎は納得したように微笑み、頬にある桜の手に熱く大きな手を重ねた。
杏「ああ、そうだな。君に似た女の子が産まれれば溺愛するだろうが俺にとっての女性はずっと君しかいない。ずっとだ。」
「ふふふー。」
桜は緩みきった笑みを見せるともう片方の手も杏寿郎の頬に当てる。
杏寿郎がそれにも更に手を重ねると桜は額もくっつけた。
そしてどちらともなく幸せそうに笑い合う。
その後も暫く上下になった体勢のまま互いの頬や頭を撫でたり優しく触れたりしながら話をしていたが、チラッと時計を見た杏寿郎が桜を腕ごと抱き締めて横に下ろした。