第77章 ※天元の入れ知恵と小旅行への出発
杏「桜、俺は折れる気などないぞ。早く仲直りをしたい。君が折れてくれ。」
「なっ、そんな……いくら杏寿郎さんのお願いでも悪いと思えない杏寿郎さんの行動を非難することなんて出来ません!」
杏「むぅ。だが桜……、」
「…………………………。」
杏寿郎も桜も相手を想えば想うほど引くに引けず、そして仲良く過ごしたいという気持ちも混ざるとなんとも複雑そうな表情を浮かべたまま見つめ合った。
「………………私達、なにしてるんでしょうね。」
桜はふとそう思ってそのまま言葉にすると杏寿郎はやっと固い空気を壊して眉尻を下げながら笑った。
杏「……すまない、折れるのは歳上の俺の役目であったな。二度と縛らないが 今回は君が痛みを覚える前に運良く解けたのだと信じる事にしよう。」
杏寿郎は微妙な折衷案を出したが、桜はこれが杏寿郎の最大の譲歩なのだと悟ると大人しく頷く。
「…………………杏寿郎さん……もう…、」
言い合い中もずっと熱い体を持て余していた桜が自由になった腕を杏寿郎の首に回し 甘えてねだるように首元に頬擦りをすると、杏寿郎は桜を横抱きにして布団へ連れて行った。
杏「すまない、焦らしてしまったな。任せてくれ。いつも通り君の大好きな愛し方で抱こう。」
そして杏寿郎は "いつも通り" 酷く激しく、そしていつもよりは多めに桜を抱いた。