第77章 ※天元の入れ知恵と小旅行への出発
杏寿郎がその言葉を許すように頬を指の背で撫でると 桜はパッと口を開く。
「も…、もう、お願いです、入れてください…っ、ごめんなさい、ごめんなさい、お願いします……っ」
その言葉で何度達したかも数えられていない程追い詰められていたにも関わらず きちんと健気に声を抑えていたのだと知り、杏寿郎の中で桜を愛しく思う気持ちが溢れた。
杏「ああ、分かった。謝らなくて良いぞ。よく頑張ったな。」
そう言って何度も頭を撫でながら褒美のキスをし、既に解れてしまっている中に指を入れて形ばかりの準備をする。
すると桜は期待に体を震わせて杏寿郎の指を締め付けた。
杏(解れたと思ったがまた随分と締まったな。少しきついかも知れない。)
杏「桜、挿れる時は深く息をしろ。」
杏寿郎はそう言うと指を抜き、足を縛っていた帯を解く。
杏「……………………………………。」
杏寿郎は赤く痛々しく付いてしまった縛り跡をなぞると眉を顰め、その険しい表情を見て首を傾げながら不安そうに眉尻を下げている桜の頭を謝るように撫でた。
杏「すまない。痛かったろう。手首も外す。これからはいつも通り愛すので君は声だけ抑えて甘えてくれ。」
「………………。」
杏「鳴き声でなければもう自由に話して良いぞ。」
杏寿郎にそう優しく言われると、桜は手首を縛るネクタイを解いている杏寿郎を愛おしそうに見つめながら口を開いた。