第77章 ※天元の入れ知恵と小旅行への出発
「…ッ!!」
杏「むぅ。よく見えないな。」
杏寿郎は立ち上がると自身のペンケースからライト付きのボールペンを持って来てそれを咥えた。
(………うそ…、)
桜の想像通り、口に咥えたライトで照らしながら杏寿郎は中を拡げて観察を始める。
そして愉快そうに笑うと手を離し、ライトを消した。
杏「可笑しいな。拡げないで欲しいと恥じた割には端なく物欲し気にヒクヒクと動いていたぞ。今すぐにでも男の子種を絞りたそうであった。ああ、君はそれを隠したかったのだろうか。」
ずっと優しく紳士的であった杏寿郎から放たれた言葉に桜の気持ちは付いていけない。
その怯えを孕んだ感情が顔に出ていたのか、杏寿郎は桜の頬に手を添えると優しく微笑みかけた。
杏「桜、言っただろう。俺がどんな俺を "演じようとも" 受け入れてくれ。そうだな……、愛の試練だと思うと良い!」
そう言って杏寿郎が太陽のような笑みを浮かべると、桜はやっと安堵の息をつき 恥ずかしそうな顔をしつつもしっかりと頷く。
杏寿郎はそれを見ると褒める様に桜を撫でた。
杏「君も役に入り込むと良い。君はこうして俺に辱められて嫌と言いながらも悦ぶ女性だ。そう思えばどうすれば良いのか自ずと分かるだろう。」
(役……。嫌と言いながらも喜んじゃう……。)
桜はまたしっかりと頷く。
それを認めると杏寿郎は再び胡座をかいた。
杏「む、怖がるような顔をしながら真っ赤に充血する程クリトリスを勃てていたのか。はは、演技などする必要は無かったかもしれないな!」
せっかく "演技" という逃げ道を貰ったばかりだと言うのに杏寿郎にそう言われると 桜は赤くなって恥から涙を流した。