第77章 ※天元の入れ知恵と小旅行への出発
「きょ、杏寿郎さんだって大っきくしてました…!」
杏「それはそうだろう。俺は100年より前から君を孕ませたいと言っていた筈だぞ。」
『忘れたのか?』と不思議そうに顔を覗き込まれると桜は堪らず杏寿郎の胸に顔を埋めて表情を隠してしまった。
杏「よもや。愛らしい顔が見えなくなってしまうとは。」
そんな事を言いながら杏寿郎はこの手の話題について改めて考えた事により 漸く大きな思い込みをしていた事に気が付いた。
杏(結婚の許しはともかく、婚約は普通2人のタイミングでするものだ。報告をすればお父様の心臓を止めてしまいそうだが……プロポーズは普通、ご両親の許可を取ってからするものではないだろう。)
その事については桜も失念していた。
どこかで婚約と結婚が近いものと捉えていたからかもしれない。
杏(プロポーズか……。前世は客間で押しに押して頷いてもらったな。今世ではもっと女性が喜びそうなものをしてあげられたら良いのだが。)
そう悩みつつも楽しみが増えた杏寿郎は笑みを浮かべながら桜の体に触れ、余裕を奪っていく。
杏「君を愛したい。顔を上げてくれ。」
そう言うと行為を好ましいものと刷り込まれている桜は呆気無く求めるような顔を上げた。
「今日はたくさんしたいです。」
前世では滅多に聞けなかった積極的で素直な甘い言葉。
杏寿郎は目を細めて微笑むと了承の証に頭を優しく撫でた。