第14章 初めての街
「きょ、杏寿郎さんッ!!!!!ここです!!!…うっ…来てくれたあ……ごめんなさいーー………。」
杏「どうしてここにいる!!心配したぞ!!!通りでも君の話をする人がたくさんいたお陰で見つけられたが……失礼っ!!!!」
杏寿郎は人混みを掻き分けようとしたがキリがないので、タンッと飛ぶと一気に桜の隣に下りた。
「わがらないんでずが、ごの…」
杏「うむ!!場所を変えよう!!!」
神様にあるまじき姿で泣きながら話そうとする桜を黙らせると、杏寿郎は店主に詫を入れてから桜を神様らしく丁重に抱く。
桜は慌てて先程の男性に顔を向けると、再びおにぎりのお礼を言った。
そして杏寿郎はまたタンッと飛んで座敷を抜けると野次馬の間を縫って、人混みから遠ざかっていった。
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「……それで、小骨が喉に刺さった時の声がその人のだって分かって…治したんです……。」
杏「むぅ。」
二人はしばらく移動して店も人気もない場所に着くと先程の話をしていた。
杏「その様子から察するに、今までこういった事はなかったんだな?」
「はい…。」
杏「声が聞こえたことも?」
「はい…。」
杏「では、今までと違ったことはあるか?」
「違った…こと……」