第14章 初めての街
男「そうです!!召し上がっていただけたんですか!?」
「わ!そうだったんですね!ありがとうございます!!はい!食べました!すごく美味しかったです!あの時、引き下がろうとしましたけど本当はお腹ペコペコで…!中途半端にお昼前お団子食べちゃったから逆に空腹感じちゃってたみたいで あの鯖煮はほんっとうに体に染みました!お米に染みた汁がまたおいし…く……って………その………ぁ…………、」
気が付くと目の前の男性のみならず、外から野次馬に来た大勢の人達が 楽しそうに喋る桜を、ぽかんとした顔で見ていた。
(嬉しくって周り見えなくなっちゃってた……。お店埋まってる。ううん、外にもたくさん…。いつの間に…?これじゃ出られない。……きょ、杏寿郎さんのところにも戻れな、い……?)
途端に我に返った桜はピシッと固まる。
男「癒猫様は親しみやすい御方なのですね!」
そう言って男性は笑ってくれたが、かえって涙腺が緩んだとき…、
杏「桜ーーーッッ!!!!!!!!」
その声に大粒の涙が溢れる。