第77章 ※天元の入れ知恵と小旅行への出発
「……うん!以上かな。後半の全体も音の迫力出てきてる。体力作りの成果はまだ出てないはずなのに…。根性がますますついたのかな?いずれにせよすごいよー。その調子で頑張ろうね。」
桜は緩い笑顔で最後に皆を褒めると立って指揮台を降りる。
すると部長の陸がそれに合わせて皆を立たせ『ありがとうございました!!』と大きな声を上げた。
杏「終わったようだな!!一ノ瀬先生、早く来てくれ!!!」
「うぅ…。」
音楽室の入り口で待ち伏せていた杏寿郎に桜は半泣きで走り寄る。
「ですから生徒達の前では…、」
杏「早く出発するぞ!!」
「……え?…どちらにですか?」
杏寿郎は戸惑う桜の手を引いて歩き出した。
杏「江ノ島だ!!!」
それを聞いた桜はぽかんとする。
それは明日の予定の筈であり、今はもう17時でこれから行ってもすぐ帰ることになってしまうからである。
「そんな、何で、」
杏「君は相変わらず体力が無いようだな!任せてくれ!!」
戸惑って歩みが遅くなっている桜を疲れているのだと勘違いした杏寿郎は横抱きにして大股の早歩きで駐車場へ向かう。
その時 桜は誰に見られても自分だと分かられないように顔を杏寿郎の胸に埋めて隠すという無駄な抵抗をしていた。