第77章 ※天元の入れ知恵と小旅行への出発
杏「滅多に取れない連休だ。旅行にでも行こうか。」
「わあっ」
15歳より前でも桜は家の外にいる男達に暴力を "振るわせる事を" 避けようとしていた為、『あまり大きなお出掛けはしたくない』と言う子供だった。
つまり旅行への憧れが強い。
「あ、でも泊まるところ取れるでしょうか?ゴールデンウィーク真っ只中ですし…。」
杏「それは確かに問題だな。取り敢えず調べてみよう。希望はあるか。ちなみに申し訳無いのだが俺は連日 竹刀を振れないのは嫌だったので旅行はあまり経験がない。」
「私もほとんど…。旅行、旅行…。パッて浮かばないなあ……。」
経験の少ない2人は『うーん』と唸ってしまった。
(また杏寿郎さんにお金を出させてしまうのだろうし、お家で過ごすのでも良いんだけれどな…。)
「杏寿郎さ、」
桜が言うより早く、杏寿郎が優しい笑顔を浮かべながら桜の頭を撫でる。
杏「……楽しみにさせてしまったところ申し訳無いのだが、やはり4日目を小旅行にして最終日はのんびりと家で過ごそう。旅行から帰ってきた翌日から仕事となると君の体が心配だ。前に話に出て来た江ノ島へ行こう。そして2日目は君が提案した家で映画を見るまったりデートをするというのはどうだろうか。」
その優しい表情を見て 柔らかい声を聞くと、桜の顔色はパッと明るくなる。
「1番理想的です!楽しみだなあ。」
そうして2人のゴールデンウィークの過ごし方が決まったのだった。