第77章 ※天元の入れ知恵と小旅行への出発
杏寿郎は桜に色々と教えこんだが、名称についてはソレとかコレのように曖昧に言わせるようにしていた。
何となく桜が汚れる気がしたからだ。
杏(しかしキスに関しては変えても良いかもしれない。なかなかに愛らしかった。セックスについては……、)
杏寿郎は『えっち。』と言う桜を思い出して思考が一度停止する。
杏(……うむ、あれは余裕が出来てからにした方が賢明だな。)
杏「桜、良いか。よく聞くんだ。キスに関しては良いだろう。だが、セックスや……ペニスに関してはそういった呼び名は使わないでくれ。特に後者については少々端ない。」
「は、はしたない……。わかりました…。」
"端ない" という強い言葉を聞いて桜は眉尻を下げた。
(杏寿郎さんの言う通りきちんと宇髄さんの変なお話は聞かないようにしなきゃ……。杏寿郎さんは許してくれたけど キスもやっぱり今まで通りの方が良いは良いんだろうな…。)
―――『煉獄を喜ばせたくねぇの?』
天元にそう言われ、つい聞いてしまったいくつかの言葉達は杏寿郎によって "ちゅー" のみ許され、そして桜によって全てボツにされたのだった。
「杏寿郎さん、キスしたいです。」
杏「……………………うむ……。」
てっきり "キス" だけは "ちゅー" に変えてくると思っていた杏寿郎は少しだけ固まった後 優しくキスをした。
そして自身が思ったより期待していたのだと気が付いた。