第14章 初めての街
男「……えっ!?……痛みがなくなった…この骨…癒猫様が…?」
「あ、よかったあ。骨喉に刺さると痛いですもんねえ。」
気持ちが緩んだ桜の声は神々しさから遠くかけ離れていた。
黙っていた周りがどよどよとまた騒ぎ出す。
『名の通り治癒してくれる神様ってことか…?』
『魚の骨とりに来る神様なんてきいたことねぇよ!第一ほっとけば取れるくらいの大きさだぞ!』
『分かんねぇんだから滅多なこと言うなって!!』
『でも…雰囲気はちょっと特殊だよなあ…庶民的というか…。』
それを聞いてまたサーッと血の気が引いていく桜。
(お座敷の席から出口まで結構距離あるし…この人達を抜けていかなきゃ……。)
男「あの!」
その声にビクーンと体を揺らす癒猫様もとい桜。
「ふぁい…?」
男「ありがとうございました!わざわざ駆けつけて下さるなんて…。」
(…?…そういえば、)
桜は当たり前に話してくる男性の目を見つめる。
(この人は最初から怖がってない。お店に初めに来たときから…。もしかして……)
「あなた…もしかして鯖煮おにぎりくれた方です、か…?」
おそるおそる訊くと男性の顔が ぱああっと明るくなる。