第76章 始まるGW
勇「杏寿郎くん、まだ5ヶ月は残っているからね。それまでは手を握るまでだよ。それ以上は絶対に…、」
その言葉にその場に居た全員が、千寿郎さえ含めた全員が一瞬動きを止めた。
かつて夫婦であった2人が同棲しているにも関わらず 勇之が桜を何も知らない少女のままだと信じ切っていたからである。
杏「お父様、既に、」
「お父さん、何を言ってるのか分からないです。」
桜は勇之がいけない話をしだしたのだと察知し杏寿郎に教えられた文句を口にした。
その言葉に勇之はほっと息をつく。
勇(桜は嘘をつけない。まだ手は出されていないようだな。……誠実な男性だということも認めよう。)
槇(杏寿郎が桜に手を出さない筈がない…。だが桜も嘘はつけない筈…どういう事だ……。)
『杏寿郎さん、何してるんですか。話に乗っちゃだめですよ。淫らです。』
杏『む、ぅ……。しかし相手が、』
「ではお開きにしましょう!」
桜が有無を言わせない笑顔でそう言うと皆立ち上がる。
謝れなかった杏寿郎は複雑そうな顔をしていた。
しかし勇之の中での杏寿郎の評価は上がり、結果的には当初の杏寿郎の思惑通りとなったのだった。
杏寿郎と桜は2組を見送ると一旦家へ帰り、着替えてから歩いてすぐの所にある定食屋へと向かった。